劇場版 魔法少女まどか☆マギカ 始まりの物語/永遠の物語 Blu-ray

総集編と片付けるには素晴らしすぎる

評価:★★★★★

ひとことで片付けてしまうならば、やはり「総集編」ということにはなってしまうでしょうか。
しかし誤解いただきたくないのですが、決して「ダイジェスト」などではありません。

TV版全話のストーリー展開、それぞれのエッセンスや見どころ、キャラクターの繊細な描写を余すところなく収録して、(決して多くはないが)新作映像も加えて240分弱。
さらに作画とサウンドはほぼ全面的にリニューアル。
物語としての破綻を一切感じさせず、さりとて詰め込み感もなくテンポもバランスも良い。
前後編の映画作品として完成されています。この編集は見事という他ありません。あるいはTV版の構成が元々見事だったというべきでしょう。

とはいえ、全編フル収録というわけではありませんので、想い出のあのシーンがカットされてしまった・・・とお感じになる方もいらっしゃるとは思います。
私に関して言えば、冒頭のまどかの夢のシーンのカットは残念でした。
これから起こる波乱を思わせる象徴的なシーンだと思いますし、後のシーンで まどかが「夢の中で、ほむらに逢ったような気がする」と言及しているので若干の不整合感を覚えました。

※これは ほむらの存在について観客に先入観を抱かせない配慮だそうですが、
「夢の中では共に戦う仲間であったはずが、現実では当初敵対するかのような素振りを見せる」という、含みをもたせた仕掛けも重要だと思うので、やはり残念に感じました。

全てを細かくチェックしたわけではありませんが、流し見でも分かるレベルで作画と音響の圧倒的なグレードアップが為されています。ここはさすが劇場版クオリティといった所でしょうか。
しかし逆に、このクオリティを最大限に堪能するためにはそこそこの再生環境が必要だと感じます。
大画面のフルハイビジョンテレビとマルチチャンネルAVアンプなどの音響装置・・・etc
少なくとも音響に関しては5.1ch環境がないと勿体無いと感じました(あるいはちょっとお高いヘッドホンで)

総評としまして、 映像作品としてのクオリティは確実にアップしている!

既に発売済みのTV版BDやDVDをお持ちの方にも、「リニューアル完全版」的な意味合いで買って損はないとオススメします。
既発メディアをお持ちでなく、どれかの購入を迷っていらっしゃる方には・・・コレを最初に購入するのは決して間違いではない。とオススメしておきます。

Ghost in the Shell 2.0 輸入盤 Blu-ray

「2.0」は言い過ぎ

評価:★★★★★

特定のシーンだけをフルCG化して貼り直したものを「2.0」は言いすぎでしょう。
いいとこ「1.5」だと感じます。

さておき・・・
この「一部CG化」、誰が望んだのでしょうか?
旧来の作画部分と新作CGが交互に入れ代わり、その違和感で物語に入り込めません。
もしやるならば、全編CGで描き直してこその「2.0」でしょう。

90年代半ばにあってハイクオリティなアニメーションを実現したからこそ旧バージョン(という言い方はしたくないですが便宜上・・・)は国際的に高く評価されたのではないでしょうか。
それを今風(と言いつつ最先端ではない)の技術で「一部だけ」を貼り直したからと言って、そこが評価に値するとは思えないのです。

また、サウンド面のリニューアルは分かるのですが、アフレコまで全て録り直しすべきだったのでしょうか?
声優陣の声のハリ、演技力。旧版の時点で完成されていたと感じます。
(配役の変更は「新解釈」として理解できる範囲でした。唐突なので驚きはしましたが・・・)

幸いだったのは、この北米版には旧バージョンが丸々一本収録されており、2つのバージョンをこのパッケージのみで見比べることができます。
※ただし、旧版の画質は国内単体パッケージよりも少々落ちます。

新旧バージョンの比較が出来る点、現在の流通価格を考えてあえて★5としました。
ともかく一度観てみたいが、新たに購入するほどの意義があるかどうかは疑問。という方にはオススメできます。

Daisy Chainsaw『Eleventeen』輸入盤 CD

狂気をカタチにしたらこんなものが産まれてしまったという例

評価:★★★★★

のちにゴスクイーンとなるケイティちゃんをボーカルに据えたゴスパンクバンド(と形容して良いものか・・・)
美しいというよりキュートだった時代のケイティちゃんのスクリーミングを喰らいやがれ!

ケイティはこの作品を最後にバンドを去って長い隠遁生活に入るため、この時期の数少ない活動の一つとして重要な盤です。
そしてケイティが参加するDaisy Chainsaw のアルバムとしては事実上最初で最後のアルバム。

彼女を指して「狂気的」「破滅的」と呼ぶ人もいるけれど、ちょっと違う気がする。
彼女はいたって正常です。

正常だからこその、演出やフリではないホンモノの狂気。
後年に劇的大復活を果たすことになる彼女の、最初の一歩からしてこれだもの。

ケイティ・ジェーン・ガーサイドという女性のポテンシャルの高さ・深さ・高貴さを認めざるを得まい。

ケイティの話ばっかりになってしまったけど、彼女をフロントに据えたクリスピンの慧眼も評価すべき。

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